心がけよう! 発言 1

地方議会制度・運営の考察 シリーズ 13

質問の趣旨・目的を理解して!
長すぎる質問内容は、内容がぼやける・聞き手が飽きる・疲れる
自己の意見・提言(要望)・持論で終了する質問 - ただの演説は質問ではない –
公表されている数字や誰もがわかる制度・政策等を長々と前置きする質問
公表されている数字や誰もがわかる制度・政策等を聴くだけの質問

隣の芝は青い?的な発言

           40数年の経験を活かした地方議会運営等の見解
           議会運営アドバイザー、山形県町村議会議長会前事務局長
                  武  田  裕  樹

1 質問の趣旨・目的を理解して!

⑴ 議会とは、住民のニーズや自身の信条などを本会議の場に反映し、長に公式に所信や対策を求
 めるところであり、また、今後の活動に活かすところ。
⑵ 決して、非難・追及だけをする場ではありません。
⑶ 質問とは、➀長の施策などやまちの現状・課題等の疑問点を聴くこと、②自己の政策・代案等の提言・意見を述べること、➂長の回答を求めること – これらが「セット」になって、はじめて「質問」と言えます。
 ※ これらには、当然に住民のニーズ(意見・疑問・要望・課題等)が含まれます。
 ※ これらには、十分に、確かな根拠(論拠)を示して、質問(疑義・提言・意見等)が行わなければ
  なりません。

2 長すぎる質問は 内容がぼやける 聞き手が飽きる 疲れる 等々

⑴ 質問内容がいくら良くても、あまりに課題を広げ過ぎて、論点が、全体がぼやけて、一体何を
 聴きたいのかが、聞き手にわからなくなっては、もったいない質問になってしまいます。
⑵ 質問内容にあまりに時間をかけ過ぎると、聞き手は、何を聴いているのか、何を聴きたいの
 が、わからなくなります。
⑶ 質問では、議論のよりどころとなる、論拠を忘れず、要領よく聞きたいことのポイントを外さ
 ず、的確に質問できれば「ベスト」です。
⑷ 質問では、聞き手がいることは忘れずに、行うことが肝要です。
  少なくとも、答弁・議論する相手がいます。その相手に、何を質問しているのかがわからなけ
 れば、一般質問にはなりません。
⑸ シュミレーションのできていない質問では、質問内容に時間をかけ過ぎて、聴きたいことの半
 分しか、あるいは答弁を得られない質問で終ってしまっては、まさに、「もったいない質問」に
 なってしまいます。
 ※ 長の答弁時間もあるでしょうから、一概には言えませんが、全体をあるいは各項目の質問時間
  等をシュミレーションしておくことは必要です。
 ※ また、長の答弁内容によって、「再質問」の内容も出てくるので、その点では、臨機応変に、
  あるいは、最初の長の答弁内容をある程度予測することも考えておかなければなりません。
 ※ 質問通告にあらかじめ「一回目の答弁書」の提出を求める議会があります。
   しかし、やり過ぎると、台本や脚本が用意された長と議員のやり取りは、舞台やドラマを見
  ている感じとなります。それが、俳優のような演技力がなく、棒読みや台本・カンペ(原稿)まる
  読みでは、住民はどのように感じるでしょうか。
⑹ 聞き手は、長(執行部)だけではありません。 議会の役割・目的等にも鑑みて、また、主権者た
 る住民が聞いています。
  聞き手に分りやすい質問をすることも必要です。
  長々と、ダラダラとした質問では、特に住民は、疲れ・飽きてしまいます。それでは、議会へ
 の関心度は低下し、議会離れが加速します。
  質問も「会話調」であれば、聴き手も聴きやすいのでは。

3 意見・提言・持論だけに終始する質問など   演説だけでは一般質問にはならない

⑴ 議員には、「自由な発言が保障」(発言自由の原則)されているので、いかなる思想・信条にたつ
 ものでもOKですが、議員の職責上、また社会的影響力等により、発言には、責任が伴いますの
 で、安易に「発言の取消し」はできません。
⑵ 質問は、前述しているように、まちの政策等に対し根拠を示して長の見解を問い、加えて、自
 身や住民の意見等に対する見解を問うといった、一連の政策論争を行うところです。
  ゆえに、一方的に意見や提言、持論を展開するだけに終始し、長の見解・答弁を求めないこと
 は、一般質問にはなっていません。それは、ただの「演説」です。ほかでやるべきものです。
 ※ だからこそ、時間の配分をしっかりと、把握して、最後まで、見解を求めることが肝要です。
 ※ 議長は、このような質問で終了したとき、改めて長(執行部)に意見を求めることが適切です。
⑶ 住民も、政策論争をあるいは、疑義の解明等を期待するのであって、本会議の場に個人の演説
 を見にきているわけではありません。

4 公表されている数字や誰もがわかる制度・政策などを長々と前置きするまたは、
それだけに終始する質問

⑴ 公表されている数字や資料等を見ればすぐ解ること、あるいは誰でも少し調査すれば解ること
 に、大きく時間をかけて長々とする質問。
⑵ 公表されている事業や政策等を改めて聴くだけの質問、国の政策等が関連するにしても国の政
 策の是非を問うだけの質問。
⑶ 町の現状や地域の現状など、公表されている、あるいは少し調べればわかるようなことなどの
 前置きがやたらと長く、時間をかけすぎる質問。
⑷ このような質問は、発言時間の浪費であり、一般質問の目的にあっていません。一般質問は、
 前述しているように、議論・政策論争をするところです。
⑸ このような質問に終始すれば、住民の関心度は低下し、聞き手に厭きられてしまいます。
⑹ このような質問に終始すれば、議員のスキル、発言能力の評価にも大きく影響するでしょう。

5 隣の芝は青い的な質問  - 将来へのビジョンがない質問では –

⑴ 先進事例の調査などによる他市町村等の先駆事例は、一般質問の説得力を増す材料とはなるが
 なぜその芝がわがまちに必要で、どうしていけばわがまちに定着するのか、そうなればわがまち
 はどのようになっていくのか、などの説明・意見が不足し、議論・政策論争に発展しなければ、
 一般質問の成果は半分です。